広島大学蔵尚友堂刊本『初刻拍案驚奇』
(細野燕台翁旧蔵)
【解説】
戦後、縁あって本学に帰したこの三十九巻本『拍案驚奇』は、「封面」(【図1】)の次に「拍案驚奇序」(【図2】)及び「拍案驚奇凡例」(【図3】)があり、続いて「拍案驚奇像」(【図4】)を附している。但しこの図は三十葉しかなく、しかも『二刻』の二葉を含んでいる。本文は巻四十を欠いているが、これは刊行者が、通行の四十巻本の巻二十三と二刻の巻二十三が同一のものであった為、意図的に巻二十三を削除し、巻四十を巻二十三に移し、目録中の巻二十三を彫り改めたからである。
よって、巻篇数は三十九巻三十九篇(全十二冊)。本文の書式は毎半葉十行、毎行二十字となっている。
この三十九巻本は、復旦大学教授章培恒氏の調査を経て、1985年上海古籍出版社から影印本が出版されている。ちなみに尚友堂刊『拍案驚奇』の原刊本四十巻(四十話)は、日光山輪王寺慈眼堂に蔵せられており、1986年にゆまに書房から影印本が出されている。
参考文献:
長沢規矩也 「「拍案驚奇」考」(『中国文学研究』 愛知大学中国語学文学研究会 1958年 後『長沢規矩也著作集』第五巻に採録)
白木直也 「本学蔵“三十九巻本拍案驚奇”について」(紀要第二十号 1962年)
章培恒 『拍案驚奇』(上海古籍出版社 1985年7月)
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